教科学習でのタブレットの活用で見えた子どもたちの変化と課題
講師:坂本 靜泰(さかもと しずひろ)氏
奈良市立春日中学校 校長
奈良市立春日中学校では「いちばん古い奈良の、いちばん古い中学校で、いちばん新しい教育を!」をスローガンに、タブレット活用やオンライン授業を進めてこられました。春日中学校のタブレット端末配布準備から授業での活用に至るまでの先生方の奮闘と今後の課題について発表していただきました。
◆ 臨時休校期間でのICT活用
まずは新型コロナウイルス感染症による臨時休校期間の話にさかのぼります。
奈良市、奈良県教育委員会の全児童生徒へのGsuiteのアカウント付与、家庭のインターネット環境調査に伴い、春日中学校はオンライン授業の対応を急ピッチで進められました。4月末からの「怒涛の10日間」で、家庭訪問による個別アカウント配布、ログインの確認など設備や環境を整えた後、5月14日にはオンライン授業を開始、というまさにスピード感のある対応をされました。
その過程では県や市による研修のほか、自然発生的に職員同士の研修が行われるなど、教育委員会、学校、教職員が一体となって動かれました。オンラインでの朝の会が始まると、先生・生徒双方が繋がった喜びや安心感が感じられました。
◆ GIGAスク-ル構想実現への先生方の奮闘
9月、奈良でタブレット端末の配布が始まります。春日中学校では、「やるからにはスタートダッシュを」の掛け声のもと、校内Wifiスポット新設と総延長なんと7000mもの校内LANケーブルの工事を約10日間で終え、9月9日にはいち早く560台の端末が学校に届きました。先生方がフィルタリング対応などの初期設定をタブレット端末1台1台に行うという大人たちの奮闘があり、無事生徒たちに端末が配布されました。
◆ 運用スタ-トと授業での実践
春日中学校が実際にタブレット活用を行う中で心掛けたことについてお話しいただきました。
タブレットの破損、紛失などを恐れずにどんどん使うこと、まずは使ってみて、試行錯誤の中で修正していかれたそうです。その中で、IDの管理など失敗はありましたが早期に修正することができたそうです。全生徒に導入スケジュール、使用ルール、情報モラルについてのプリントを配布することで一定のルールを決められています。実際の保健体育、国語、家庭科などタブレットを活用した授業や、英語のオンラインの様子をご紹介いただきました。
◆ まとめ – タブレット活用で見えてきたもの –
「せっかくの配布、一つ一つのことに意味を持たせることが大事。大人の奮闘を見せることにより、ここから先は生徒たちが頑張る場だということを訴えたい。これらのことは自校に対する愛着、誇りを育むことに繋がった」ということです。
またタブレット使用を機会に勉強の楽しさに気付く生徒も多くみられました。春日中学校では先行事例などの情報共有ができればとお考えです。ぜひ春日中学校のHPをご覧ください。