開催報告③「セミナー 「多様性」を尊重する保育を考える 」
「未来をつくる教育フォーラム2021」は、「子育ちを支える『幼児教育』」をテーマとし、11月27日(土)、28日(日)にオンラインにて開催しました。
多数の方々にご参加いただき、意見の交換や考えの共有をすることができました。
ここでは、当日のプログラムを振り返っていきます。
今回は、大阪青山大学 助教の徳留 由貴さんにご講演いただいたセミナー「多様性を尊重する保育を考える」をお伝えします。
大学で特別な支援を要する子どもの保育や、仲間関係づくりに関する研究をされている徳留由貴氏。
日本の幼児教育の歴史をふまえ、保育を取り巻くその社会的課題についてお話しいただきました。
日本の幼児教育の歴史
1872年、日本で全ての子どもに教育を、と始まった「学制」。
しかし保護者や学校を建てる自治体の財政難から思うように子どもたちは就学できませんでした。
ようやく1880年代に子守学校が誕生。幼児への保育が始まりました。
同じ頃初めての幼稚園が創設されるも、家庭から保育料を徴収するため、やはり一部の家庭しか利用できませんでした。そこで保育料は無償、保育時間も長い幼稚園分室が誕生しました。
また貧しい子どもの生活する地域に設立された幼稚園で保護者の要望を保障するものでした。
これらが幼稚園と保育園が分化する背景です。現在は幼保一元化が進められています。
「統合保育」から「インクルーシブ教育」へ
かつて日本では障がい児の入所が拒否される現実がありましたが、1970年代からは統合保育が始まりました。
世界では1994年から、特別な教育ニーズを有する子どもへの「インクルーシブ教育・保育」の考えが広まりました。
これは障がいの有無でなく、あらゆる子どもが個々に必要な援助を受けながら、みんなが同じ場で教育を受けられることを目指しています。
障がいの他、虐待、外国籍、医療を必要とする子どもなど、より多くの多様な子どもへの配慮が必要になってきており、 日本でも「統合保育」から「インクルーシブ教育」の考え方に移行しています。
保育現場での変化と実践~多様な子どもたちを尊重する保育へ~
《子ども・集団の捉え直し》
正解がないごっこ遊びで楽しいを共有、ごっこ遊びを媒介に鉄棒など活動を混ぜる
《子どもに活動参加の選択を委ねる》
ごっこ遊びも強制参加にしない、子どもが選ぶ、遊びを決める
《子どもたちと一緒に活動を考える・創造する》
《 食育を大事にする》種まき、水やり、野菜の収穫、調理
《 子ども/集団の変化》
子どもたちに自由に、主体的に任せると、子どもたちは自分で他の子どもに寄り添って考えていた。
集団の中で異質な幼児が生まれない。
ともすればルーティン化され、画一化していく保育現場。
「こうでなければ」という固定概念からの解放により、子どもたち、保育者共に解放され、それぞれが対等な立場で保育をつくっていくことが大切と、締めくくられました。
保育の現場でも、主体性を育む取り組みがなされてきているのですね。
日頃、なかなか触れることがない保育の歴史などについても聞くことができて、とても勉強になりました!
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