開催報告④セミナー 「フィンランドの幼児教育」

「未来をつくる教育フォーラム2021」は、「子育ちを支える『幼児教育』」をテーマとし、11月27日(土)、28日(日)にオンラインにて開催しました。
多数の方々にご参加いただき、意見の交換や考えの共有をすることができました。

ここでは、当日のプログラムを振り返っていきます。
今回は、ピリヨ・サレルヴォさん、ヒルトゥネン 久美子さんにご講演いただいたセミナー「フィンランドの幼児教育」 〜自らの翼で羽ばたく子どもたちのために〜をお伝えします。


講師:ピリヨ・サレルヴォ氏
通訳:ヒルトゥネン 久美子氏

フィンランドから生中継!保育士養成に長年携わってこられたピ
リヨ・サレルヴォ氏と、フィンランド在住28年、通訳・プロジェ
クトコーディネーターであるヒルトゥネン 久美子氏に、フィンラ
ンドの子ども主体の幼児教育について紹介していただくと共に、
ポジティブ教育学についてお話しいただきました。

フィンランドの幼児教育の歴史

1888年、フィンランド初の保育所が設立。道端で遊んでいる子どもを集めて保育が始まりました。
フィンランドでも、もともとは先生主体の教室運営でしたが、1990年代に教員主導の活動を疑問視する声が上がり、新しい保育モデルが研究されました。

新しい保育モデルとその影響

《小グループ活動》
子どもたちは落ち着いてゆっくりと活動でき、アイデアを出し活動内容に影響を与えることが可能となります。
先生は子ども一人一人の声に耳を傾けることができます。

《ストーリーテリング》
子どもたちがお話をすることを聞き取る活動です。
子どもが話をし、先生はそのまま書き取り復唱します。
否定や修正はしません。
繰り返すうちに子どもたちが自信を持って自分の思いを伝えることができるようになっていきました。
今では学校や高齢者施設でも行われているそうです。

テーマワーク、プロジェクト、子どものアクティブな役割と参加で創造性を育てる

自分たちでテーマを決めて創作活動をしています。
大人は何を学ぶか道を決めてしまわず、情報は子どもたちと一緒に調べ情報提供はしません。材料は外に出して常に使えるようにしています。
例えば、大きな白い紙に子どもたちが森の色を塗り、それを壁に貼り部屋を森のように。他にもジャングル、海をテーマにしたグループもあり、それぞれが手を動かし、外に出て活動し、アート活動で自分を表現していきます。

ポジティブ教育とは

今日、「ポジティブ教育ー強みの教育学」とよく言われるようになりました。
これまでの子どもの理解とは、まわりから遅れていないか、など平均を気にしたものでした。
ポジティブ教育ではまず、子どもが何に興味を持っているか、何を強みとしているかに目を向けることが大切です。
子どもに興味があること、何ができるのかをインタビューし、子ども自身が言葉で表現し、説明できるように導いていきます。
大切なのは自分の感情を理解し、友達の感情をも理解できることになることです。 もちろん遅れているところはプロフェッショナルのサポートがあります。

フィンランドでは子ども主体の教育となるために、先生は「教える」から「聞く」役割に変わっていきました。
フィンランドの子ども主体の保育の実例を見ることにより、保育や教育に携わる方、保護者の方々にも参考になるお話がたくさんありました。
日本でも、これらの良い部分を少しでも取り入れ、広めていくことが重要と思われます。


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